(憩いま専科) 夫婦日記

 私の伯父夫婦が金婚式を迎えたときに言っていました。「ここまで来て、お互いがやっと空気のような存在になれたのかもしれない」と。

 

 夫婦って不思議なものですよね。

 

 このお店にも、いろいろなご夫婦がお見えになります。私の体験も含め、ちょっと語ってみましょうか。

 

 

         いつかは空気のように

1.オレの胸に・・・ガツンと

 こんなぼっこわれ家の娘でイヤだったら結婚してくれなくてもいい。

 と、結婚の申し込みをしに行った時に、初めておじゃました彼女の家で、彼女の親父にいきなりガツンと先手を取られました。

 

 場所は東北の農村。風光明媚なところで田畑が広がり、その中にかやぶきの家がありました。そこでの話です。

 

 彼女の話では、親父さんは結婚当初から放蕩三昧で、家の中ではさして力がないはずだったのに・・・。たしかにかやぶきの家はちょっと傾いて見えるし、トイレは家の外で・・・ほんとにすごいし、風呂は、五右衛門風呂ってきっとこれだなってものだったし。

 

 でも、でも都会のもやしっ子って言われてきたオレの胸にガツンときました。あの親父さんのことば。

 

 絶対、彼女を幸せにしようと思った。それができなかったら、オレは男じゃなくなると思った。

 そしてさらにオレも親父になって、娘を授かって、娘と結婚したいという男を目の前にしたときにこんなせりふを言ってみたいと・・・思いました。

 

 

2.私には無理

 妻というのは、必ず家計簿をつけるものだと思い込んでいました。

 それだけではなく、けっこう男というヤツは、いや、私というヤツは思い込みが激しく、女とは・・・、妻とは・・・。今、考えてみると、妻はさぞかし迷惑しただろうなぁと思います。

 

 それはともかく、新婚生活がスタートして2・3ヶ月が経ったでしょうか。我が家の家計はどうなっているのかと家計簿を見てみると、「ガーン!」。スタートから1・2週間で、すでに記入は途切れていました。

 妻いわく、「私には無理」。えっ。

 

3.途中で言ってくれればよかったのに

 社会人として年数を経てくると、それなりに付き合いも広くなり、お酒が嫌いでも苦手でもない私は、夜な夜な大事な付き合いと称しては居酒屋へ、あるいはスナックへ。

 さすがに庶民なので高級なところへは行きたくても行けませんが、幸い私は、女性のいるお店よりも居酒屋のほうが肌に合うようで。先輩方に連れて行ってもらったこともありましたが、きれいな女性が隣にいるとそれだけで落ち着きません。どうもダメです。

 

 でもいくら安いって言ったって、居酒屋だってタダじゃない。しかも、1軒2軒3軒とはしごをするから電車もバスもなくなります。結局、毎晩のようにタクシー。

 妻は気前が良かったです。「悪いんだけど、ちょっとお金ちょうだい」というと、ポンと出してくれました。世の中も景気も良かったですね。いわゆるバブルの頃です。

 

 でもそれはある日突然やってきました。

 「悪いんだけど、お金ちょうだい」 「もうありません」

 「また、また」 「ありません」

 「一銭も」 「はい」

 

4.味な話

 味というのはおもしろいもので、その家々で微妙に違いますよね。

 それは知っていたのですが、妻の作る料理は濃いんです。おいしいんですけど、濃かった。今はそうでもなくなりましたが、それでもまだ濃いかも。

 

 だいたい私は濃い味好きで、おかず食いではなく、ご飯食いなんです。だから、ご飯のすすむこと、すすむこと。幸いお米は妻の実家が送ってくれるのでいいのですが。

 

 新婚の頃の鶏のから揚げは黒かったです。

 

 いつだったか、妻の実家でのこと。夕食に卵焼きを出してくれたのです。甘いやつを。私の好物ですから気を使ってくれたんですね。

 でもその卵焼きに私がソースをかけたとき、食卓は騒然となりました。あなたはどうですか。ソース派。醤油派。田舎には醤油派しかおらず、「なんてことするだぁ」と。

 

 醤油でもいいいのですが、甘いやつは、私的にはソースのほうが合うように思います。

 

5.いつの間にか慣らされて・・・

 妻は片づけがあまり得意ではありません。散らかっていても気にならないようなのです。私はどちらかというと、几帳面なほうでして。

 

 テーブルの端のほうを、人差し指でさぁっとなぞって「けっこう、ほこりが・・・」なんて、イヤなヤツですねぇ。自分でも、そう思いますね。

 

 妻は、結婚してしばらくは「あら、ごめんなさいね」。

 5年以上経つと、「あら、へんねぇ。拭いたのに」。

 10年経過、「私、近眼だから見えないのよ」。

 15年経過、「・・・・・・・・・・・・」。

 20年経過、「気が付いた人が拭く」。

 そして現在は、私が気にならなくなってしまいました。

 

 妻は偉いです。至らぬところを直してやろうなんて思っているうちに、こちらが慣らされてしまいました。

 

 でもこまめには片づけをしないのですが、散らかり様がマックスに達したときと、お客さんが来るというときはすさまじいのです。もうそのくらいでいいだろうと、止めても止まらないのです。

 しばらくは、家中すっきりです。 

 

6.妻は寛大です。

 妻は私に対して寛大です。最近は寛大というより、無関心なのかもしれませんが・・・。

 

 私が30代前半で、バリバリの熱血サラリーマンだった頃。私の職場は女性が圧倒的に多いのです。しかもどちらかと言えば、きれいな女性ばかりなのです。

 ですから、「○○さんと○○さんは不倫関係です。あるいは、そうでした」などと言う話は、枚挙にいとまがありません。

 

 私も自慢ではありませんが、モテましたねぇ。

 ある年のバレンタインデーなどは、両手に大きな手提げ袋をいっぱいにして帰りました。娘がまだ小さかったので、妻が「虫歯になると困る」と言って、押入れに隠してしまいました。過去の栄光です。

 

 まぁ、そんな状況の職場なのですが、熱血の私としては「とにかく楽しく仕事をしてもらって、業績をガンガン上げたい」と思うので、女性を連れて飲みに行きました。

 女性というのは、1対1でじっくり話しをすると本音を言ってくれます。人数がけっこういましたから、ずいぶん行きましたね。

 

 男同士なら居酒屋がいいのですが、女性とのノミュニケーションはちょっとおしゃれな店がいいですね。

 リーダーとしては、えこひいきは禁物です。機会均等でなくてはなりません。思い出すと、どの女性も素敵でしたね。楽しかったですよ。

 その甲斐があったのかどうか、職場の業績は絶好調でした。

 

 それで妻の寛大ですが、そういう私を自由にさせてくれました。

 私と妻はほうれん草(報告、連絡、相談)なので、

 「今日は、職場で一番美人の○○ちゃんと飲んで帰りまーす。帰ってから、お茶漬けお願い」。 

 「はい、はい、それはお楽しみのことで。お気をつけて」。

 結局私がいるのは、妻の手のひらの上なのでしょうか。

 

7.男の修行

 私は洗濯当番です。洗濯機をまわして、洗濯物を干して、それを取り込みます。たたむのは妻の仕事です。


 洗濯機から洗濯物を取り出してみると、妻と次女のものはよく裏返しになっています。干すときにめんどうなので、「洗濯物を出すときは、裏返しに脱いだものは元に戻してください」とお願いをすると、「衣類は裏返しにして洗濯するものです」と返ってきました。


 それでは片方の袖だけ、タイツの片方の足だけ、片方の靴下だけはどういうことなのでしょうか。


 この間などは、取り込んで妻がたたもうとしたときに、タイツ2枚重ねとソックスが着ていた状態のままになっていたものがありました。これは次女です。しかし洗濯機の中も、私が干すときも、風に吹かれている間もよくバラバラにならなかったものです。


 ときどきティッシュがまじっていて、たいへんなことになります。

 これも次女の仕業が多いです。我が家では「今日、心無い人がおりまして・・・」という言い方をします。


 洗濯物を干し終わって達成感につつまれ、どっこいしょと腰を下ろすと、テーブルの下あるいはソファーの下にソックスがあります。しばしば無造作に脱いであります。これは妻なのです。


 「おい、これ」。「デヘへ」でおわりです。

 

8.孫にそっくり

 ついこの間、台所で晩ご飯のしたくをしている妻の後姿を見て、ハッとしました。


 妻の後頭部から首にかけて、孫娘(5ヶ月)とそっくりだということに気が付きました。

 なんでこんなところが・・・。

 お母さんである長女も、次女も気が付いていませんでした。


 長女も次女もまあるいタイプではありません。

 妻はもともとポッチャリ型なのですが、孫娘は生まれたときはほんとに小さい赤ちゃんでした。

 ところが5ヶ月経つとすっかりポッチャリになりまして・・・、似てしまったのです。

 

 そして、昨日でした。

 今度は後姿ではなくて、正面から見た姿まで孫娘に見えてきました。

 

 赤ちゃんは、両親をはじめ親族に次々と似てきます。おもしろいものです。

 しかし、おもしろいのは孫娘ではなくて妻のほうです。

 

 コピーのようで、誰が見ても間違えようのない親子をときどき見かけます。

 ベビーカーに乗っている子どもとお母さん、肩車の子どもとお父さん。みごとにそっくりということはよくあります。

 

 孫がおばあちゃんに似てきたのか、おばあちゃんが孫に似てきたのか。いずれにしてもよく似ているのです。私には、もうそっくりにしか見えません。

 まったく話題に事欠かない妻です。


9.2012年6月のある日 山中湖にて

 

 先日、仕事の関係で山中湖に行ってきました。

 残念ながら霧でした。

 晴れていれば、すぐそこに富士山なのですが・・・。

 もちろん妻も同行してです。

 

 娘たちが幼稚園に通う前だったでしょうか。

 それが最初に家族4人で来た山中湖でした。

 昔のアルバムをひろげれば、

 バカに楽しそうな家族が写っているはずです。

 

 先年、娘夫婦と弟一家と来たことがありました。

 みんなでいっしょだったのは食事時だけで、

 それぞれが勝手気ままに楽しみました。

 あーいうのも、いいものだと思いました。

 

 そんな楽しいことがたくさんあったと

 二人で霧っぽい湖畔の駐車場で、

 たらこのおにぎりをほうばりました。

 たらこは最近の私たちのブームなのです。

 

 

10.オレの鍋なんだけど・・・

 私の晩ごはんは、寒い季節はだいたい鍋です。妻が、一人用の小さな土鍋に、毎日ちょこっとづつ変化を加えた鍋料理を作ってくれます。それを肴にちびちびと、これがいいんですねぇ。

 

次女  「ただいまぁ。わぁ、いいにおい」

妻と私 「お帰りぃ」

次女  「お腹すいたぁ。わっ、お父さんの鍋、おいしそう」

妻   「食べていいよ。ホタテがいいんじゃない」

私   「エッ? あ、よろしかったら・・・」

次女  「それじゃ私も、ビールにしようかな」

 

そして数日後

 

次女  「ただいまぁ。わぁ、いいにおい」

妻と私 「お帰りぃ」

次女  「お腹すいたぁ。わっ、お父さんの鍋、おいしそう」

妻   「食べていいよ。鶏団子がおすすめ」

私   「エッ? あ、あ、どうぞ」

次女  「それじゃ私も、ビールにしようかな」

 

そして、さらに数日後

 

次女  「ただいまぁ。わぁ、いいにおい」

妻と私 「お帰りぃ」

次女  「お腹すいたぁ。わっ、お父さんの鍋、おいしそう」

妻   「食べていいよ」

私   「ちょっと待て! これはオレの、な・べ・だ。そんで、なんでいつもおまえが、食べていいよって言っ    ちゃうわけ? それはオレのせりふでしょ」

妻   「それじゃ、どうぞ」

私   「今日のおすすめは、スープと白菜だけでーす」

妻と次女 「ケチ」

つづく

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